ゴマシジミとは?

どんな生き物でしょうか?

ゴマシジミは、鱗翅目シジミチョウ科の昆虫です。外国ではこの仲間は「ラージブルー」(大きくて青いチョウ)と呼ばれいて、500円硬貨より少し大きい位です。

生息している地域によって(亜種とされる)、また同じ地域でも個体によって、大きさやもように違いがあります。

日本では環境省レッドリスト2020に、絶滅危惧IA類(CR)として関東・中部亜種、絶滅危惧IB類(EN)として中国地方・九州亜種、絶滅危惧II類(VU)として中部高地帯亜種、そして準絶滅危惧(NT)として北海道・東北亜種があげられています。

北海道内では法面を利用して分布を広げているといわれていますが、それは自然個体群とは別のものとして考えなければならないのかもしれません。

成虫、そして産卵

北海道では7月中下旬~8月、ゴマシジミの成虫が現れて、結婚を経てナガボノワレモコウの花穂に産卵を行います。

日当たりの良い場所を、特に好みます。また、高さ4~5mの林の上をたまに飛んでいることもありますが、分布拡大に対して有効な手段だと思われます。

草食時代

ゴマシジミの卵は花穂内部に取り込まれます。そこで孵化し、幼虫は花穂を内部から食べるのです。3齢幼虫までは花穂の中に基本的に潜って生活していますが、時には外側に出て他の花穂へと移動を試みる場合もあります。

4齢幼虫は9月頃になると花穂の外にでてきますが、観察地ではハラクシケアリを花穂の上で見かけることは珍しく(昼間はクロオオアリ、クロヤマアリ等のアリが穂上では目立つ)、ゴマシジミ幼虫が地上に落ちてからハラクシケアリと出会うことが多いと推定されます。

そして肉食へ

運よくハラクシケアリに出会ったゴマシジミ幼虫は、アリに甘露を与え手懐けて、巣の内部へと運ばせます。そこではハラクシケアリの女王に成りすまして、アリ幼虫を暴食!

アリには得なことがないように思えますが、それはそれでいいんじゃないでしょうか?

さなぎから成虫へ

ゴマシジミはさなぎ時代も幼虫時代と同じようにハラクシケアリ女王に成りすますことに成功しています。ただし羽化した瞬間、ハラクシケアリ女王の化けの皮も脱ぎ捨ててしまい、ゴマシジミ成虫はハラクシケアリの眼には単なるエサとしか映りません。因果な世界ですね・・・。

ナガボノワレモコウとハラクシケアリ

ナガボノワレモコウがあるような自然の湿地は、北海道、特に札幌圏では減少傾向にあります。

ハラクシケアリはまだ健在のようですが、じめじめっとしたところを好んで巣作りを行っています。

飼育下ではモリクシケアリの巣の中でゴマシジミが暮らすことが可能なことが判っていますので、自然界でのモリクシケアリとゴマシジミの関係を確認することが、今後の課題です。